車は移動する際、とても便利な乗り物です。特に公共交通機関があまりない地域においては、生活するうえで車は必要不可欠な移動手段ではないでしょうか。そんな車の盗難は、毎年何千件も発生しています。
また、盗難があるということは、盗難防止グッズもたくさん販売されているということです。しかし盗難防止グッズの種類が多すぎて、一体どのグッズを使ったらいいのか迷っている方もいるのではないでしょうか。
今回は、車の盗難防止グッズの紹介と、どうすれば効果的に使用できるかなども一緒にご紹介していきます。
車の盗難、実は減っている?
車の盗難は、実は年々減少傾向にあります。平成30年に警察庁の生活安全企画課が発表した車の盗難件数は、平成15年の6万件越えをピークに毎年なだらかに減少しているのです。そして6万件を超えていた車の盗難は平成29年には1万件ほどに減少しており、車の盗難がいかに減っているのかが分かります。
なぜ14年ほどで、ここまで車の盗難が減っているのでしょうか。
背景には盗難防止装置の充実が
車の盗難が減少した理由のひとつに、防犯技術の向上が挙げられます。
昔は車にカギを差し込むことで施錠したり、エンジンをかけたりしていましたが、現在はキーレスの時代となりました。キーレスとは「keyless entry system(キーレスエントリーシステム)」の略であり、車にカギを差し込まなくてもエンジンをかけたり、施錠ができるシステムのことを指します。つまり、昔の車よりも構造が複雑になったということです。
また、キーレスの車には「イモビライザー」というシステムが必ず組み込まれています。イモビライザーとは、カギを差し込まなくてもいい反面、同じような電波で車が盗難されないよう、キーの中に車両専用のIDを持たせ、電波によってその照合を行い、ボタン一つで操作ができるという仕組みのことです。
このイモビライザーシステムのおかげで、他の車のキーをいくらかざしても車の施錠は解除されませんし、エンジンをかけることもできないようになっています。
このような盗難防止の技術が進歩したことにより、車の盗難は簡単に行うことができなくなりました。しかし車の盗難は少なくなったとはいえ、無くなったわけではありません。現在も年間1万件前後の盗難が発生しているのが現実です。
盗難される車の中に自分の愛車が含まれない保証はないため、しっかりとした盗難防止対策が必要であるといえるでしょう。
愛車が盗難にあった場合の対処方法
盗難防止対策を行っていても、盗難にあう可能性はあります。では、もし愛車が盗難にあった場合、どのような対応が必要なのかをご説明していきます。
車が盗難にあったことが判明した場合は、下記の3つのことを必ず行いましょう。
- 警察に連絡し盗難届を提出する
- 保険会社に連絡し盗難にあったことを伝える
- 車の一時抹消登録を行う
まずは警察に連絡!
車が盗難にあった場合は、必ず警察に連絡しましょう。そして盗難被害届けを出し、受理番号をもらいます。この受理番号を陸運局に提出することで、一時抹消登録をすることができるので、無くさないよう注意が必要です。
保険会社やその他の車関連会社にも連絡を
また、自分で連絡しなければ、車が盗難にあったことを保険会社は知りません。そのため、その間も保険料は発生します。また、保険会社だけでなく駐車場など、車関連で料金が発生しているもの全てに連絡し、解約もしくは停止を行うことが大切です。自動車税に関しても、陸運局に連絡しなければ毎年税金が課せられます。
陸運局で一時抹消登録を行う
車を盗難されたの場合、廃車ではなく「一時抹消登録」をすることで、車が戻ってくるまでの間、税金を止めることができます。
車が盗難にあった場合はパニックにならず、まずは落ち着いて対処することが大切だといえるでしょう。
盗難防止グッズは多種多様
車が盗難された場合の対処方法は先ほどご説明しましたが、そもそも盗難にあわないことが一番重要です。現在、盗難防止グッズは数えきれないほど販売されており、どの盗難防止グッズを使用するか迷ってしまうかと思います。
どのような盗難防止グッズがあるのかご紹介しますので、盗難防止グッズ選びの参考にしてみてください。
電波遮断キーケース
キーから発してる微弱電波をケースによってシャットダウンし、リレーアタックなどによる盗難を防ぐ商品。
ハンドルロック
ハンドルに取り付けることでハンドルをロックし、車の施錠を解除された場合でも車を使用して逃げることを防ぐ商品。
タイヤロック
タイヤをロックし、車に乗り込んでのそのまま逃走することを防ぐ商品。
振動アラーム
車に与えられる振動を感知し、アラームによって警告を行う商品。
駐車監視付きドライブレコーダー
駐車時でも常に録画を行い、不審な行動を監視する商品。
ナンバープレートロック
ナンバープレートの盗難を防止する商品で、ネジの頭部が特殊な形状になっており、専用の工具でないと取り外せないようになっている。
ホイールロックナット
タイヤの盗難を防止する商品で、ナンバーロックと同様、ホイールナットの形状が特殊な形になっており、簡単に取り外せないようになっている。
盗難防止グッズは万全ではない
ご紹介したとおり、車の盗難防止グッズは様々な種類が販売されています。どのグッズを使用するかは自分次第であり、これさえ取り付けておけば絶対に盗まれることはないという商品はありません。
では、どうすれば車の盗難を防止することができるのでしょうか。
盗みづらい車だと思わせることが最大の盗難防止対策!
車の盗難を防止するためには、一つだけの盗難防止グッズでは不十分です。ダミーでもよいので盗難防止グッズを併用することにより、泥棒に「この車は盗みづらい」と感じさせることが重要です。
盗難防止グッズの種類が多いように、車の盗難方法もたくさんあります。タイヤやナンバープレートだけを盗んだり、キーレスの電波を利用して車のエンジンをかけたり、中には10人ほどの力持ちが車を持ち上げ、積載車に積み込むといった手口も存在するのです。
自分の車がどのような方法で盗まれるかは誰にも分かりませんが、車を盗難する際は必ず下見をし、盗みやすいかどうかを吟味します。
自分が車泥棒になったとしましょう。盗難防止グッズをいくつも使っているであろう車と何も対策していない車では、どちらの方が盗みやすいと思うでしょうか。やはり、何も対策していない車ですよね。
逆に考えるならば、周りの車が盗難防止グッズをいくつも使っているのであれば、何も対策していない自分の車が盗難の対象にされるかもしれません。
泥棒も車の盗難はできるだけスムーズに行いたいはずです。そんな中、わざわざ盗みづらい車は選びませんよね。車を盗難から守るためには、まず泥棒の気持ちになり、どんな車が盗みづらいのかをよく考えてみることが重要だといえるでしょう。
まとめ
愛車を盗難から守るためには、盗難防止グッズを複数使用し、盗みづらい車だと思わせることが大切です。車の盗難は年々減ってきているものの、海外で高く売れる日本車の盗難が完全になくなることはないでしょう。
盗難を100%防ぐことができる方法はありませんが、盗難される可能性を減らすことはできます。盗難防止対策をしていない方の中には、「こんな車、盗む価値もないから大丈夫だろう」と考えている方もいるかもしれません。しかし、例えボロボロの軽自動車であっても、ナンバープレートなどが盗難対象となることは十分に考えられます。実はナンバープレートは、封印がない軽自動車の方が盗みやすいという背景もあるのです。
このような知識がなければ、何も対策をせず、簡単に盗まれてしまう可能性が高くなります。自分の車は大丈夫と過信せずに、しっかりとした盗難防止対策を行い、泥棒から愛車を守ることが大切です。