悪質な中古車販売業者の手口とは?騙されないための方法や注意点

岐阜県岐阜市の中古車販売業者から中古車を購入した人が、「代金を支払ったのに納車されない」「後から調べてみると実は事故車だった」などといった詐欺的な被害に遭っていることが問題になりました。
この業者は九州豪雨で水没した車の経歴を偽って販売するなど、かなり悪質な手口を繰り返しており、被害に遭った人は複数人にのぼっています。
しかし、こういった悪質な中古車販売業者は他にも存在しています。

ここでは、中古車販売における悪徳業者の手口や、悪徳業者に騙されないための方法、中古車購入における注意点などをご紹介します。
悪質な中古車販売業者に騙されないためにも、ぜひチェックしてみてください。

悪徳業者の詐欺の手口

では実際、悪質な中古車販売業者はどのような手口で詐欺的な行為を行うのでしょうか。
その手口を知っておけば事前に対処できることもあるので、確認していきましょう。

事故歴・修復歴の詐称

実は、販売する中古車が事故車であるかどうかを業者が開示する義務はなく、あくまでも任意で開示するということになっています。
しかし、優良な中古車販売業者であれば、事故歴を詐称して中古車を販売することはありません。
また、修復歴は中古車を販売する際、整備記録として開示する義務があります。
そのため、事故によって修復した車は、どちらにしても修復歴ありと開示する必要があるのです。

しかし、事故車や故障車を格安で仕入れて自社で修理し、「事故歴なし・修復歴なし」の車として販売する、悪質な中古車販売業者が存在します。
修復歴のある車は、一見問題なく走行するように見えても、修理で元の状態に完全に戻すことは難しく、安全性や性能に問題があることが多いです。
こういった悪質な業者は当然、保証なども付けないため、購入後に不具合が発生しても何の対応もしてくれません。

メーターの改ざん

走行距離は、中古車の価値に大きく影響します。
日本国内の中古車市場においては、走行距離が10万kmを超えると、中古車としての価値が一気に下がると言われています。中古車を売却する際も、走行距離が10万kmを超えているかどうかで、買取価格が大きく変動することもあります。

しかし、悪質な業者は、走行距離が10万kmを超えた中古車を安く仕入れ、メーターを数万km程度まで巻き戻すことで、走行距離の短い、価値の高い車として販売します。
10万km以上走行している車は不具合が生じることも少なくないため、こういった車を購入してしまった場合、高いお金を払って購入したにもかかわらず、すぐに不具合が起こる可能性があります。

キャンセル料詐欺

客がキャンセルを申し出るように仕向け、キャンセル料を騙し取るといった手口も存在します。
これには、支払いを済ませた後で「車にトラブルが発覚し、納車することができなくなったので代わりの車を探す」などと言い出すケースがあります。
欲しかった車が手に入らないならキャンセルしたいと伝えると、「一方的なキャンセルなので、迷惑料を差し引きます」などと言われ、迷惑料を取られてしまうことが多いです。

また、代金を支払ったにもかかわらず、「納車の日程はまた後日連絡します」などと言い、一向に連絡してこないケースもあります。こういった場合もキャンセルを申し出ると、同じように迷惑料を差し引かれるか、高額なキャンセル料金を請求されます。

こういった業者は、訴訟すると伝えても全くひるみません。
訴訟などが面倒になって、こちらが泣き寝入りすることを見越しているのです。

存在しない車を買わされる

手元にない車の車検証だけを入手し、「今はまだ店頭に並んでいないが、すぐに売れてしまうような車を仕入れたので買うなら今だ」などと言って支払いを急がせ、実際は車を仕入れていないにも関わらず、代金だけを騙し取る悪質な業者も存在します。こういった場合、代金を支払った後どれだけ待っても納車されず、問い合わせてみてもトラブルが起きているなどと言ってかわされ、調べてみると業者が仕入れてもいない車だと判明します。
業者がこのような手口を使う際は、よっぽど資金繰りに困っていることが多いため、返金を求めても既にお金を使い込んでしまっていることがほとんどです。
裁判に持ち込んだとしても業者には支払えるお金がないため、結局騙された側はお金が返ってこないことになるのです。

悪質な業者に騙されないためには

悪質な中古車販売業者の手口をいくつかご紹介しましたが、こういった手口に引っかからないための方法が存在します。中古車を購入する際に行うべきことでもあるので、ぜひ参考にしてみてください。

事故歴・修復歴を調べる

事故歴や修復歴を詐称して販売されることを防ぐために、事故歴や修復歴を調べる方法をご紹介します。

まずは、外観から判断する方法です。中古車を購入する前に、自分の目で以下の項目を確認するようにしましょう。

  • 板金塗装の跡がないか
  • ボンネットとフロントフェンダー、バンパーとの間に隙間や段差がないか
  • トランクとリアフェンダーの間にズレがないか
  • 取り外し跡や塗装跡がないか
  • ヘッドライトやテールランプなどが左右で異なっていないか

また、財団法人日本自動車査定協会に依頼すると、事故歴があるかどうかを調査してもらうことができます。
「車両状態確認証明」を発行してもらうこともできるので、心配な方は調査を依頼してみてもいいかと思います。

メーターの改ざんを見破る

メーターの改ざんを見破るには、車の状態と走行距離が比例しているかどうかが判断のポイントになります。
一般的に、走行距離が5万kmを超えると、シートに変色や擦れなどが現れ始めると言われています。
走行距離が少ないにも関わらず、運転席のシートの劣化が進んでいる場合などは、メーターの改ざんを疑うことができます。

また、オイル交換、タイミングベルト交換のシールのチェックも効果的です。
オイル交換やタイミングベルト交換のシールには、交換した時点での走行距離が記されているため、そのシールを見れば、その時点での走行距離を知ることができます。
しかし、メーターの改ざんを行うような悪質な業者は、このシールを剥がしていることがほとんどです。
そのため、オイル交換やタイミングベルト交換のシールが剥がされている場合も、怪しいと考えていいでしょう。

中古車を購入する際の注意点

悪質な中古車販売業者から中古車を購入してしまうことがないよう、中古車を購入する際に注意しておきたい点をご紹介します。
これらの工程をできる限り確認、実践し、悪質な中古車販売業者に騙されないようにしましょう。

中古車購入はクーリングオフ不可

中古車購入の契約を結んだものの、業者側にこういった悪質な詐欺的行為が判明した場合、クーリングオフを行えばいいのでは、と考える方もいるかと思います。
しかし、クーリングオフは全ての契約に適用されるわけではなく、中古車購入にクーリングオフは適用されないのです。
これは、こちらの個人的な都合だけでなく、悪質な契約を結ばれた場合でも同様です。

納車前であれば基本的にキャンセルは可能ですが、悪質な業者の場合、お話ししたとおり高額なキャンセル料を請求してきたり、迷惑料を差し引いてくることがほとんどです。
また、キャンセル自体を受け付けず、返金してくれないような業者も存在します。
中古車購入はクーリングオフができないため、慎重に中古車販売業者を見極める必要があります。

できる限り実車を自分で確認する

悪質な中古車販売業者の手口でもお話ししましたが、事故歴や修復歴を詐称されたり、実在しない車を販売されることを防ぐため、購入する車を自分の目で見て確認することが重要です。
サイトでは写真を加工している可能性もあるため、ネット上だけでやり取りをするのはおすすめしません。
事故歴や修復歴を確認することはもちろん、傷やへこみなどの状態も自分で確認し、全て納得した上で中古車を購入することがトラブル防止につながります。
また、可能であれば試乗して、走行状態のチェックも行うようにしましょう。

整備点検記録簿を確認する

整備点検記録簿とは、その車が今までどんな整備を行ってきたのか、どの部分の部品を交換したのかなどが記されているものです。
この整備点検記録簿を見れば、車の整備状況を把握することができます。
きちんと定期点検を受けているか、メンテナンスが行われているかを確認するようにしましょう。

しかし、悪質な中古車販売業者が何かを隠したい場合、当然整備点検を見せるようなことはしません。
整備点検の有無について販売業者に問い合わせ、それでもないと言われた場合は、疑ってみた方がいいかもしれません。

契約は慎重に

悪質な業者は、契約を急かしてくるのが特徴です。
しかし、業者のペースに乗せられることなく、慎重に契約を結ぶことが大切です。

まずは、購入を考えている車の相場価格を調べましょう。
これは、ネットなどで「車種名 相場」で検索するとすぐに調べることができます。
購入を考えている車が相場よりも高すぎないか、適正な価格であるかどうかは確認しておく必要があるでしょう。

次に、金額の内訳は契約書に記載してもらうようにしましょう。
中古車を購入する際は、車両の本体価格以外にも様々な費用が発生しますが、その内訳を明記せずに上乗せする業者も存在します。検査登録代行費用は相場よりも高くないか、消費税込みなのか消費税別なのかという細かい部分まで、契約書できちんと確認することが重要です。

トラブルが起きた場合は消費者生活センターへ

悪質な中古車販売業者とトラブルに発展してしまった場合は、消費者生活センターの相談窓口に相談するようにしましょう。
悪質な業者な場合、まともな話し合いができないことがほとんどのため、公的な相談窓口を利用することが有効です。消費生活センターでは、消費者が一方的に損をしてしまうことがないよう、公正な立場で問題に対処してくれます。
悪徳な中古車販売業者とも対等に交渉を行ってくれるので、一度相談してみるようにしましょう。

まとめ

車の購入は人生の中でも大きな買い物ですよね。
そんな大切な買い物を悪質な中古車販売業者によって台無しにされないためにも、お話しした内容に注意してもらえればと思います。

また、こういった悪質な中古車販売業者は、聞いたことがないような業者であることが多いです。
規模が小さく、あまり名前を聞いたことがないような中古車販売業者の利用を検討している場合は、事前にネットなどで評判を調べておく必要があります。
万が一、悪質な中古車販売業者とトラブルに発展してしまった場合は泣き寝入りせず、消費者生活センターに相談するようにしましょう。