廃車にする際は抹消登録を行う必要がありますが、永久抹消登録ではなく一時抹消登録を行った場合、手続きをすれば再び車を使用することができます。
ここでは、一時抹消登録を行った車を再度使用する方法について詳しく解説していきます。
一時抹消登録について
廃車にするために行う抹消登録ですが、一時抹消登録を行うのは廃車にするためだけではありません。
一時抹消登録とはどのようなものか、一時抹消登録を行った際にすべきことなどについて解説していきます。
一時抹消登録って?
廃車にする際に行う抹消登録には、永久抹消登録と一時抹消登録の2種類があります。
永久抹消登録とは、車の登録情報を完全に抹消し、二度と公道を走行できないようにする手続きのことです。
それに対し一時抹消登録は、車の解体は行わず、車の登録情報だけを一時的に抹消する手続きのことを言います。
永久抹消登録を行った車は再び使用することはできませんが、一時抹消登録であれば中古車新規登録の手続きを行うことで、再び使用することができます。
どんなときに一時抹消登録をする?
しばらく乗る予定はないものの、またいつか乗るかもしれない車はそのまま放置するのではなく、一時抹消登録を行うことをおすすめします。
毎年4月1日時点で車を所有していると自動車税が課税されますが、一時抹消登録を行えば、自動車税が課税されることはありません。
そのため、しばらく乗る予定のない車はもちろん、海外出張や入院などで長期間車を使用しない場合も、一時抹消登録を行えば、その期間中に無駄な自動車税を支払う必要はなくなります。
保険も忘れずに解約する
車の保険には、車の購入時に加入が義務付けられている自賠責保険と、加入は任意であるものの、ほとんどの人が加入している任意保険があります。
車を所有していると、この保険料も支払う必要がありますが、自動車税と同じく、一時抹消登録をする際に保険の解約も行うことで、不要な保険料を払い続ける必要がなくなります。
一時抹消登録をした車を再び使用する際、自動車保険の等級をそのまま引き継ぐためには「中断証明書」が必要になります。
中断証明書があれば、中古車新規登録を行い、再び車を使用する際、以前の等級の割引率をそのまま保持することができます。
中古車新規登録に必要な書類
一時抹消登録した車を再び使用する際に行う中古車新規登録には、どのような書類が必要になるのでしょうか。
普通車と軽自動車では必要となる書類が異なるため、それぞれ確認しておきましょう。
普通車の必要書類
普通車の中古車新規登録を行う際に必要となる書類は下記のとおりです。
自分で用意する書類
- 登録識別情報等通知書(一時抹消登録証明書)
- 所有者の印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 印鑑登録証明書と同じ実印
- 車庫証明書(発行から40日以内のもの)
- 自賠責保険証明書
- 定期点検整備記録簿
運輸支局で入手する書類
- 自動車重量税納付書
- 申請書
- 手数料納付書・印紙
- 自動車検査票
- 自動車税・自動車取得税申告書(不要な地域あり)
車の所有者ではなく、代理人が中古車新規登録を行う場合は、所有者の実印が押印された委任状が必要となります。
軽自動車の必要書類
一時抹消登録を行った軽自動車を再び使用する際は、新規検査という手続きが必要となります。
軽自動車の新規検査を行う際に必要となる書類は下記のとおりです。
自分で用意する書類
- 保安基準適合証
- 自動車検査証返納証明書
- 自賠責保険証明書
- 所有者の印鑑
- 定期点検整備記録簿
軽自動車検査協会で入手する書類
- 申請審査書
- 自動車重量税納付書
- 新規検査申請書
- 軽自動車検査票
- 軽自動車税・自動車取得税申告書(不要な地域あり)
中古車新規登録の手続き方法
必要書類を揃えたら、中古車新規登録の手続きを行いましょう。
普通車の中古車新規登録は管轄の運輸支局、軽自動車の新規検査は管轄の軽自動車検査協会にて行います。
中古車新規登録の手続き方法について詳しく解説していきます。
1.車庫証明を取得する
まずは、車の保管場所を確保していることを証明する車庫証明を取得します。
車庫証明の正式名称は「自動車保管場所証明書」といい、車の保管場所がある地域の管轄の警察署で取得できます。
車庫証明の取得には申請から3~7日ほどかかり、発行手数料として2,100円、交付手数料500円が必要になります。
また、発行から40日以内の車庫証明でなければ、中古車新規登録に使用することができないため注意しましょう。
2.車検を受ける
一時抹消登録を行った車は、車検が切れてしまっていることがほとんどです。
しかし、車検に通った車でなければ公道を走行することはできないため、車を再度使用する際には、もう一度車検を受ける必要があります。
車検を受けるためには運輸支局まで車を持ち込む必要がありますが、車検が切れ、ナンバープレートも付いていない車で公道を走行することはできません。
そのため、車検が切れた車で再び車検を受けるには、運輸支局にて手数料750円程度を支払い、仮ナンバーを取得する必要があります。
仮ナンバーの取得には下記の書類が必要になります。
- 自賠責保険証明書
- 車検証
- 運転免許証
- 印鑑
仮ナンバーの取得は自賠責保険に加入していることが条件となるため、事前に自賠責保険に加入しておくようにしましょう。
仮ナンバーの有効期限は最大でも5日ほどになるため、取得後はすぐに車検を受ける必要があります。
また、仮ナンバーを取得する以外にも、レッカーを手配して車の移動を依頼するか、自宅まで引き取りに来てくれる車検業者に依頼するという方法もあります。
3.ナンバープレートを取り付ける
車検に無事通れば、運輸支局にて中古車新規登録を行うことができます。
運輸支局で書類を入手し、必要事項を記入したら窓口に提出しましょう。
その後、運輸支局の敷地内にある自動車税センターで自動車税を支払い、同じく運輸支局の敷地内にあるナンバーセンターにてナンバープレートの交付を受けます。
受け取ったナンバープレートを車に取り付ければ中古車新規登録が完了し、再び公道を走行できるようになります。
中古車新規登録にかかる費用
一時抹消登録に費用はほとんどかかりませんが、中古車新規登録には費用が発生します。
どのような費用がかかるのか、詳しく見ていきましょう。
必ず必要となる費用
中古車新規登録で必ず必要となる費用は下記のとおりです。
- 車庫証明取得費用:2,000~2,200円
- 登録手数料:700円
- ナンバープレート交付手数料:1,500~2,000円
- 自賠責保険加入費用:25ヶ月26,680円(軽自動車は25,880円)
- 検査手数料:1,400~1,800円
車検の検査手数料は普通車が1,800円、小型車が1,700円、軽自動車が1,400円となります。
車検を受けるために仮ナンバーを取得する場合は、仮ナンバーの申請費用750円程度が必要となります。
税金は車によって金額が異なる
中古車新規登録を行う際は、一時抹消によって止められていた下記の税金を納付する必要があります。
- 環境性能割
- 自動車税
- 自動車重量税
これらの車にかかる税金は、車両本体の価格や排気量、車の重量などによって金額が異なります。
また、車にかかる税金は2019年10月1日から変更になっているので、確認しておきましょう。
任意保険の再加入
車の所有者の加入が義務付けられている自賠責保険は補償範囲が限られており、相手方への補償しかありません。
それに対し、任意保険は自分の意思で加入するかしないかを決めることができますが、補償内容も自分で決めることができるので、さらに広い範囲での補償を受けることができます。
一時抹消登録を行う際、任意保険も解約しているはずなので、再度車を使用する際は、任意保険への加入費用も必要になります。
任意保険の加入費用は、保険会社や加入するプランによって異なるので、一度保険会社に確認してみましょう。
まとめ
車をしばらく使う予定はないものの、またいつか使用する可能性がある場合は、一時抹消登録を行いましょう。
一時抹消登録をした車を再度使用する際には、中古車新規登録を行う必要がありますが、車検に通った車でなければ中古車新規登録を行うことはできません。
しかし、長期間放置した車は経年劣化などによって故障していることもあり、車検に通らない可能性もあります。
その場合は修理をする必要がありますが、修理費用が高額になり、中古車新規登録を行うべきかを迷う方もいるかと思います。
修理費用が思っていたよりも高額になった場合、車を買い替えるというのも一つの方法です。
完全に廃車にする場合は永久抹消登録を行う必要がありますが、その場合は自分で解体業者を探し、運輸支局にて永久抹消登録の手続きを行う必要があります。
しかし、廃車手続きまで全て代行してくれる廃車買取業者に依頼すれば、解体業者などを自分で探す必要もなく、運輸支局まで足を運ぶ必要もありません。
また、ガリバーやカーネクストのような廃車買取業者であれば、海外への販路を持っているため、廃車にする車でも高値が付く可能性があります。
修理業者と廃車買取業者の両方から見積もりを取り、中古車新規登録を行うべきか車を買い替えるべきかを検討することをおすすめします。