車を処分する際には、廃車手続きを踏む必要がありますが、どのように進めるべきか分からず、困っている人は多いでしょう。廃車手続き=プロがするものと考える人もいますが、実は手順さえ知っているなら自身で行うことも可能です。
廃車手続きは自分で行うことでコストを削減することができ、よりお得に愛車を処分できます。廃車手続きには複数の種類があり、車の区分によってもやり方が異なります。種類別の手続きの方法や必要書類を知り、全体の流れをきちんと把握してスムーズに廃車を完了させましょう。
廃車の手続きについて
自身で廃車を行うなら、まずは手続きについての基本的な理解を深める必要があります。そもそも廃車とは、車の名義を消去する手続きであり、車の状態に関係なく行うことができます。
ボロボロになった車を処分する=廃車手続きと考える人も多いですが、実はそうではなく、極端に言えば新車でも手続きを済ませると廃車にすることは可能です。廃車手続きは名義を取り去り、公道で走れなくするための手続きだとイメージしておきましょう。
自動車別の手続き
廃車手続きを行う場所は自動車の種類ごとに違います。普通自動車なら運輸支局、あるいは自動車検査登録事務所で手続きを行います。
軽自動車の場合は、軽自動車検査協会で行い、別の種類の廃車手続きは受け付けてもらえないため注意しなければなりません。手続きの準備が整っていても、場所を間違えると廃車できないため、自動車の区分に合った場所で手続きを行いましょう。
廃車の種類で手続きと費用が異なる
廃車手続きは大きく2つの種類に分けられ、それぞれで手続きの方法と費用が異なるため注意しなければなりません。普通自動車と軽自動車で方法と費用が異なることはもちろん、同じ区分の車でも、方法次第でやり方は違います。
廃車手続きは「永久抹消登録」と「一時抹消登録」に分けられるため、事前にどちらで廃車にするのか決めておくことも大切です。
廃車の解体費用
廃車の方法次第では、事前に車を解体することもあります。解体費用は車によって少しずつ違いますが、大体1万円前後が相場でしょう。普通自動車でも軽自動車でも相場は同程度のため、少しでも安く済ませられる業者を見つけることが大切です。
車の解体業者は数が多く、それぞれでサービス内容も異なるため、選ぶ際には念入りに情報を集めるようにしましょう。また、解体して処分する場合は、リサイクル料金も必要ですが、これは事前に支払っていることがほとんどです。
リサイクル料金は購入時、車検更新時などに払うことが多く、すでに支払っているなら廃車時には費用はかかりません。未払いの場合のみ、解体費用にプラスしてリサイクル料金も支払うと考えましょう。
廃車手続きの種類
廃車手続きは種類によって特徴が異なるため、それぞれの違いも把握しておかなければなりません。基本的には「永久抹消登録」と「一時抹消登録」のどちらかで廃車を行いますが、例外的な方法に「解体届出」があります。これら3つの特徴の違いを知り、廃車手続きへの理解をさらに深めましょう。
スクラップにするなら永久抹消登録
永久抹消登録は、解体を伴う廃車手続きです。手持ちの車が完全に不要で、今後も乗る予定が一切ないならスクラップにして処分します。単にスクラップにしただけでは車本体はなくなっても、名義は残ったままのため、残った名義を消去する作業が永久抹消登録にあたると考えましょう。
永久抹消登録を行うには、事前に車の解体が必要であり、その時にもらえる書類を持参しなければなりません。車を解体業者に引き渡すと「解体報告記録日」を教えてもらえるため、そのメモ書きを持って廃車手続きの申請を行います。
また、手続きは解体から15日以内にしなければならないため、期間内に終えられるよう解体以降のスケジュールは確保しておきましょう。
永久抹消登録は車を解体するため、途中でやめることはできません。絶対に不要な場合のみに限定し、将来的に少しでも乗る可能性があるなら、他の方法で廃車にしたほうが良いでしょう。
今後乗るのであれば一時抹消登録
一時抹消登録とは、車から名義のみを消去する手続きで、解体せずにそのまま車体を残すことができます。解体が不要なため、申請だけで手続きは完了します。廃車手続きをした後は、名義がないため公道を走ることはできませんが、保有し続けても問題はありません。
名義がないため、毎年の自動車税の課税もなく、コレクションにして長く保管することも可能です。また、一時抹消登録した車に再度名義を登録することで、再び乗ることもできます。自身で乗るのはもちろん、他の人が登録して乗ることもできるため、廃車後に中古車で売却することも可能です。
解体処分を伴わないため、廃車手続き後も車を自由に扱うことができ、一定期間は使わなくても将来的に何らかの用途で使う可能性がある人におすすめです。
解体届出とは
解体届出はやや特殊で、一時抹消登録した車を解体し、処分する際に行う手続きです。いわば一時抹消登録+永久抹消登録の手続きであり、将来的に使う見込みがあったものの、結局使わなかった場合に行うことが多いです。
解体して申請という点は永久抹消登録と同じであり、違いは解体時点ですでに名義があるかどうかだと言えます。すでに一時抹消登録を行っている場合は、名義がない状態のため処分する際には、解体届出という別の手続きが必要になると考えましょう。
廃車手続きに必要な書類と費用
廃車手続きは車の区分に従って、運輸支局や自動車検査登録所、または軽自動車検査協会で行いますが、方法によって必要な書類と費用が異なります。廃車は法的な手続きのため、書類に不備があると手続きが完了せず、再度出直しになるため注意しなければなりません。
また、費用も異なるため、それぞれの違いを知って、処分までにどれくらいのコストがかかるか計算することも大切です。方法ごとの必要書類と費用を知り、手続きの進め方のイメージを膨らませましょう。
普通自動車
普通自動車の場合、手続きの方法は「永久抹消登録」「一時抹消登録」「解体届出」のいずれかです。
永久抹消登録の場合
普通自動車の永久抹消登録に必要な書類は、以下のものが挙げられます。
- 自動車検査証
- ナンバープレート前後両面
- 申請書
- 手数料納付書
- 印鑑証明書
- 実印
- 「移動報告番号」と「解体報告記録がなされた日」のメモ書き
- 委任状(代理人が手続きを行う場合のみ)
手続きを行うには窓口でナンバープレートを返納し、申請書を作成して提出します。必要書類を全て提出すると廃車登録は完了であり、手続きも終了です。永久抹消登録の場合、解体が必要なため解体費用や必要に応じてリサイクル料金がかかりますが、申請の手数料自体は無料です。
一時抹消登録の場合
普通自動車の一時抹消登録に必要な書類は、以下のものが挙げられます。
- 自動車検査証
- ナンバープレート前後両面
- 申請書
- 手数料納付書
- 印鑑証明書
- 実印
- 委任状(代理人が手続きを行う場合のみ)
基本的には永久抹消登録と必要な書類は同じですが、解体を伴わないため、「移動報告番号」と「解体報告記録がなされた日」のメモ書きは不要です。手続きの方法も同じで、窓口でナンバープレートを返納後、必要書類を作成して提出します。
一時抹消登録の場合、申請の手数料が350円かかります。申請時に一緒に支払って、手続きを完了させましょう。
解体届出の場合
普通自動車の解体届出に必要な書類は、以下のものが挙げられます。
- 登録識別情報等通知書または一時抹消登録証明書
- 「移動報告番号」と「解体報告記録がなされた日」のメモ書き
- 手数料納付書
- 永久抹消登録申請書
- 解体届出書
解体届出の場合も、永久抹消登録同様申請には費用はかかりません。また、手続きも簡素で、すでにナンバープレートは返却しているため、必要書類を提出するだけで終わります。一時抹消登録終了の際にもらった書類が必要なため、それだけなくさず保管しておきましょう。
軽自動車
軽自動車の場合は、軽自動車検査協会で廃車手続きを行います。廃車手続きの種類は普通自動車と同様ですが、名称が異なるため注意しなければなりません。軽自動車の場合、永久抹消登録は解体返納、一時抹消登録は自動車検査証返納届となります。
解体届出は普通自動車も軽自動車も名称は共通しており、手続きの方法も同じです。解体返納と自動車検査証返納届の必要書類、および費用を知って、スムーズに手続きを完了させましょう。
解体返納の場合
軽自動車の解体返納に必要な書類は、以下のものが挙げられます。
- 使用者の印鑑
- 所有者の印鑑
- 自動車検査証
- 使用済自動車引取証明書
- ナンバープレート前後両面
- 解体届出書
- 軽自動車税申告書
解体返納の場合も事前に解体が必要なため、業者に引き渡して使用済自動車引取証明書を入手しておかなければなりません。その他の必要書類はある程度共通していますが、使用する印鑑に違いがあります。普通自動車の場合、印鑑は実印が必要でしたが、軽自動車の場合は認印で構いません。
必要な書類もやや少なく、印鑑も認印で構わないため、廃車手続きは簡単に進めやすいです。永久抹消登録同様、申請の手数料は不要で、解体費用とリサイクル料金のみ負担します。
自動車検査証返納届の場合
軽自動車の自動車検査証返納届に必要な書類は、以下のものが挙げられます。
- 使用者の印鑑
- 自動車検査証
- ナンバープレート前後両面
- 自動車検査証返納証明書交付申請書
- 自動車検査証返納届出書
- 軽自動車税申告書
自動車検査証返納届の場合、解体が不要なため必要な書類も少なく、より簡単に手続きは進められます。ナン自動車検査証返納証明書交付証明書以下の書類は、すべて当日窓口で入手できます。申請に必要な手数料350円で、これも普通自動車の場合と同じです。
書類・その他必要な準備物を用意する方法
廃車手続きには必要な書類が多いため、スムーズに進めるためには、それらを事前に用意しておかなければなりません。しかし、特殊な書類も多く、何を用意すべきか、またどこで入手すべきか分からず困る人も多いでしょう。
廃車時に必要な書類は、「自分で用意するもの」と「窓口で手に入るもの」の2つに分けられます。それぞれの書類の違いを把握して、入手方法も理解しておきましょう。
自分で用意する書類
自分で用意する書類は、主に以下のものが挙げられます。
- 自動車検査証
- ナンバープレート前後両面
- 印鑑証明書
- 実印
- 解体時にもらえる書類
自動車検査証は車検更新時に新しいものを発行されており、基本的には車内で携帯しています。見つからない場合はダッシュボードに入れていることも多いため、車内をくまなく探してみましょう。車についているナンバープレート前後両面を取り外し、持参します。
取り外しはプラスとマイナスのドライバーだけで可能で、できない場合は業者に依頼して外してもらいます。印鑑証明書と実印は、役場で登録して、用意しましょう。印鑑証明書の発行も、同じく役場から可能です。ただし、印鑑証明書は発行から3カ月以内と有効期限が決まっているため、期限切れにならないよう注意しましょう。
永久抹消登録や解体届出の場合は解体に関する書類が必要ですが、これは業者に引き渡した際にもらえるため、特に問題はありません。
運輸支局や軽自動車検査協会の窓口でもらえる書類
運輸支局や軽自動車検査協会の窓口でもらえる書類は、以下のものが挙げられます。
- 申請書
- 手数料納付書
- 自動車検査証返納証明書交付申請書
- 自動車検査証返納届出書
- 軽自動車税申告書
申請書は廃車手続きと車の種類によって名称が異なりますが、全て窓口で入手できるため、分からない場合は窓口の担当者に聞くと良いでしょう。その他書類も全て当日入手できるため、事前準備は必要ありません。一部ホームページからダウンロードすることも可能で、事前に入手して作成したものを持っていくこともできます。
やり方が分かっているなら作成したものを持っていくとよりスムーズですが、分からない場合は窓口で聞きながら作成したほうが良いでしょう。
廃車の還付金について
廃車の際には方法に応じて費用を支払わなければなりませんが、実は税金を還付してもらえる場合もあります。還付される税金は自動車税と自動車重量税の2つですが、それぞれ要件が異なります。また、手続きの方法も違うため、これらへの理解も深めて、きちんと還付金を受け取りましょう。
廃車で税金 (自動車税) が戻るのは普通自動車のみ
廃車した際には方法に関係なく自動車税が還付されますが、これは普通自動車に限られます。軽自動車は軽自動車税と税金の種類自体が違い、還付の対象ではないため注意しましょう。ただし、自動車重量税は軽自動車でも還付を受けることが可能です。
自動車重量税は永久抹消登録を行った場合のみ還付されます。自動車税は永久、一時どちらでも、自動車税は永久抹消登録のみという違いは覚えておきましょう。また、還付される金額は廃車のタイミングによって違います。
自動車税は廃車の翌月から年度末までの期間を月割り計算、自動車重量税は車検の残り期間を月割り計算して計算します。
手続きに必要な書類
自動車税は廃車手続き完了と同時に、還付申請の手続きも完了します。1~2カ月後に還付の支払い通知書が送られてくるため、それを持って金融機関の窓口に行き、還付を受けましょう。
自動車重量税は永久抹消登録の申請書で、税金の還付申請を行います。申請書提出後は別で手続きを行うことができないため、必ず書類作成時に還付申請も行いましょう。
廃車買取に特化した業者を選ぶ
車を処分する際には、解体して廃車にするだけではなく、買取に出す方法もあります。廃車買取を行う業者は多く、物によっては高値で売却できることもあります。業者ごとにサービス内容や買取の条件は違うため、廃車買取に特化した、好条件を提示してくれる業者を利用しましょう。
廃車買取ならカーネクスト
カーネクストは廃車・事故車の買取に特化した業者であり、0円以上で買取保証を行っていることが特徴です。どのような車でも少なからず値段をつけてもらえるため、処分するしかないと諦めていた車も、まずは査定に出してみましょう。
査定は無料で、引き取りの際のレッカー代や廃車の代行手数料も無料です。処分にかかるコストが不要なため、よりお得に愛車を手放すことができるでしょう。
廃車手続きは車の種類と廃車の種類で異なる
廃車手続きには複数の種類があり、車の種類と方法によってやり方が異なります。同じ廃車にする場合でも、手続きの進め方や必要書類は違うため、それぞれに合ったやり方を把握しておかなければなりません。
また、車を処分するなら廃車買取もおすすめで、費用をかけずに手放し、反対に利益が出ることもあります。愛車を上手に処分する方法を知り、少しでもスムーズかつお得に手放しましょう。