世界一車の値段が高い国はどこ?

世界で一番車を購入するのにお金がかかる国、いわゆる車の値段が高くなる国とはどこなのでしょうか。

新車を買うにはどのくらいお金がかかるのか

日本国内で新車を購入するには、どのくらいお金がかかるかご存知でしょうか。車両本体の価格だけでは車を購入することはできません。こちらで紹介します。

新車購入時にかかる費用

大前提として車両本体の価格がかかりますが、その他にも新車購入には様々な費用がかかってきます。車両本体の価格とはまた別にかかる費用の目安は、車両本体価格の5~10%です。その内訳は、車の新規登録にかかる費用、車に関する税金、保険料、ディーラーの納車費用です。

まず、新車の登録車検を受けうるには、運輸支局での登録手数料のほかに、運輸支局での代行手続きを行ってもらうため代行手数料です。登録時にはナンバプレートの登録をしたり、最寄りの警察署で車の保管場所のわかる車庫証明が必要なのですが、いずれも発行手数料がかかります。また、運輸支局での新車新規登録には自動車取得税や自動車重量税のを支払いが必要ですし、車検の受検をするには強制的に自賠責保険に加入する必要があります。また車の型式毎に決められたリサイクル料金を、所有者の義務として納めておく必要があります。新車車検はディーラーで受けることがほとんどですが、新車登録費用のなかに含められています。

高税率で車も高いデンマーク

高税率・高福祉国家として有名なデンマークですが、自動車にかかる税金も例外ではありません。

デンマークで新車を買う時の税率は150%

新車を購入する時にかかる自動車取得税の税率は、デンマークではなんと車両価格の150%となっています。例えば、新車の車両本体価格が300万円の車をデンマークで購入するには、元の車両価格と自動車取得税150%の税金を合わせると450万円で、車両価格の1.5倍の金額で購入することになります。(この税率は日本円にして約140万円以上の車に対するもので、140万円以下の車に対する税率は105%となっています)

車が購入しづらい環境は国民に影響を及ぼさないのか

自動車の購入価格が高くなると、生活に車を必要とする国民も買いづらくなり、生活に影響が出るのでは?と思われるかもしれません。
しかし、デンマークは自転車大国といわれている国で、2016年には都市部であるコペンハーゲンの市内中心部でも、車よりも自転車の通行量が上回っていたという結果があります。もともと国土が平坦で山が少ない地形であり、最も高い場所でも海抜172メートル程度のためフラットな道路は自転車で移動しやすく、また、国としても自転車の利用を推進するため自転車専用道路の整備を充実させるなど力をいれていて、自動車がなくとも自転車によって生活ができる仕組みがあります。自動車は高級な嗜好品として認知されていて、そもそもの所有者自体が国全体と通じて少なくなっています。

シンガポール

シンガポール

そんなデンマークを超えて世界一自動車が高い国は、シンガポールです。
シンガポールは、国土が狭い割に人口が多く(淡路島と同程度の面積ですが、人口は淡路島のおよそ38倍あります)、世界でもトップクラスの人口密度です。

車両購入権(COE)がなければ購入自体出来ない仕組み

シンガポールはもともとの国土に対しての人口密度が高い上に、都市部に人口が集中しています。そのため、都市部が自動車社会となると慢性的な渋滞が起こる事は確実といえるでしょう。渋滞問題解消のためにシンガポールでは、自動車の登録台数を抑制する目的で高い輸入関税・登録料などがかけられ、更には入札制の車両購入権がなければ車を購入すること自体できないようになっているのです。

車両購入権はCOE(Certificate Of Entitlement)と呼ばれ、車種(排気量などによる)やその時の景気により変わります。2022年12月時点での1,600cc以下の乗用車のCOEは、$88,503となっており、日本円にすると約893万円となります。COEの有効期限は10年間ありますが、まず車を購入する前にそれだけの価格で権利を取得しなくてはいけないというから驚きです。

COE以外にも車の購入にはお金がかかる

その他にもシンガポールで車を買うには、物品税(車両価格×20%)、商品サービス税(車両価格+物品税の7%)、登録料(140SGD)、追加登録料(車両価格×100%)、ナンバープレート代(25~30SGD)などが必要になってきます。

これらを合計するとシンガポールで車を購入するには、日本の車両価格の3~4倍の金額が必要になると言われています。
トヨタ・プリウスであれば、日本でなら250~300万円ほどで新車を購入できますが、シンガポールの場合はCOEや税金を含めて1400~1500万円程必要になります。

しかも一度車を買ったらその後は維持が楽かと言えば、そんなことはありません。
ERP(Electronic Road Pricing)という一般道で交通料を徴収するシステム(日本でのETCシステムに似ている)があるため、走るだけで燃料以外にも道路税が常にかかります。一般人には買うことも維持するにも負担が大きく感じますが、シンガポールは国土が狭く、料金が安い公共交通機関が発達しているため、自動車を所有していなくても暮らしに不便はありません。

車を買うのはどんな人?

では、どのような層が車を所有しているかと言えばもちろん富裕層になるのですが、シンガポールは住民税・相続税・贈与税などが存在せず、所得税も最大で20%(日本では住民税と合わせて最大で50%となります)であるので、タックスヘイブンとして富裕層の移住先に選ばれるのです。

スポーツカーなどの高級車でもない普通の乗用車でも購入するのに1,000万円以上かかるにも関わらず、節税のために移住してきた富裕層が多いので、人口あたりの自動車の所有率は15%あります。そして、このように高い金額がかかるように仕組みがつくられていても、人口密度が異常に高いため、シンガポールの都市部は常に渋滞になっているということです。

世界一値段が高い車は

車の購入時にかかる費用が高い国をご紹介しました。前述した車を買うのにお金がかかる国とはことなり、車両価格自体の値段が高い、世界一の高価な車についてこちらでご紹介します。

世界で最も高価な車は、ジュネーブモーターショー2019で発表された【ブガッティ・ラヴォワチュール ノワール】で、黒い車という意味を持っています。ブガッティのシロンと同じパワートレーンを持つスーパーカーで、世界に一台しかない車です。当時の価格は、約1100万ユーロとなっていました。2019年時点では日本の時価額にして約14億円となっていましたが、2022年12月現在の日本円に換算すると15億円を超える車となります。特注品でモデルワンオフとなっており、熱心なブガッティファンが購入したといわれていますが、現在の所有者は明かされていません。

まとめ

デンマークもシンガポールも、自動車がなくても暮らせる環境がありますが、自動車関連の税金はとんでもない税率になっているようでした。ただでさえ自動車は高い買い物だというのに、車両価格の3倍や5倍など、富裕層以外の人がおいそれと負担できるものではありません。どちらの国も、国土・地形や公共交通機関により生活に不便がないとは言え、車好きにとっては辛い環境かもしれませんね。