車が安全面や環境面で保安基準に適しているかどうかを検査するための車検ですが、うっかり車検を受けるのを忘れていたという方は意外と多いです。
しかし、車検切れの車には罰則や罰金が科せられてしまう可能性があります。
ここでは、車検切れの車に科せられる罰則とはどのようなものなのか、車検が切れてしまった車はどうすればいいのかについて詳しく解説していきます。
車検切れの車には罰則がある?
車検が切れているからと言って、必ず罰則や罰金が科せられるわけではありません。
罰則や罰金が科せられるのはどのような場合なのかを、車検切れの車を見つける最新のシステムと併せてご紹介します。
公道を走行したら罰則の対象に
車検切れの車を所有しているだけで罰則や罰金が科せられることはありません。
中古車販売店などで販売されている車も車検切れの状態で売られているため、所有すること自体に問題はないのです。
罰則や罰金の対象となるのは、車検切れの車で公道を走行したり、公道に駐車した場合で、これらの行為は道路運送車両法で禁じられています。
しかし、公道ではない私有地を走行するのであれば問題はありません。
車検切れの車を見つけるシステム
車検切れの車で公道を走行しても、バレることはないだろうと考えている方もいるかもしれません。
これまでは、車検証やフロントガラスに貼られている車検標章を確認しなければ、車検切れの車かどうかを判断することができませんでした。
しかし、2018年より、車検切れの車を取り締まるための「ナンバー自動読取装置」が導入され、車検切れの車の摘発数は増加しています。
この「ナンバー自動読取装置」は、カメラでナンバープレートを瞬時に読み取り、車両情報を管理する機関にナンバーの情報を送信することで、車検が切れているかどうかをすぐに判別することができます。
このシステムによって、車検切れの車を見抜くスピードと確実性は格段に向上し、車検切れの車の摘発が効率よく行えるようになりました。
どんな罰則が科される?
車検切れの車で公道を走行した場合に科される罰則とは、どのようなものなのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
違反点数6点
運転免許の点数は0点からスタートし、違反するごとに加算されていくシステムになっています。
車検切れの車を公道で走行させた場合、道路運送車両法に違反したことになるため、この違反点数が6点加算されます。
30日間の免許停止
違反点数がある一定まで累積されると、免許停止や免許取り消しなどの処分が下されることがあります。
しかし、車検切れの車を公道で走行させた場合、違反点数に関係なく、一発で30日間の免許停止処分になります。
30日間の免許停止が明け、違反者講習を受講した後は、違反点数は0点に回復しますが、前歴は付いてしまいます。
前歴が付いてしまうと前歴がない場合に比べ、行政処分が適用される点数や処分の内容が厳しくなるのです。
例えば前歴が2の状態で車検切れの車を公道で走行させた場合、一発で免許取り消し処分となってしまいます。
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
違反点数の加算や免許停止といった処分は、行政処分の区域となります。
しかし、車検切れの車を公道で走行させた場合、行政処分だけでなく刑事処分の対象にもなり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
この罰金を支払わなければ道路交通法違反となり、刑事事件として処理されることになります。
自賠責保険も切れていたら?
自賠責保険とは、交通事故が発生した時に被害者の対人賠償を担保する保険のことで、車を所持している場合は加入する義務があります。
自賠責保険の補償期間は、車検の1ヶ月後になるように設定されていることがほとんどです。
そのため、車検が切れている車は、自賠責保険の補償期間も切れてしまっている可能性が高いです。
自賠責保険の補償期間が切れた車に罰則はあるのでしょうか。
自賠責保険が切れている場合の罰則
自賠責保険の補償期間が切れている車を公道で走行させると、自動車損害賠償保障法第5条に違反することになり、処罰の対象になります。
科せられる罰則は以下のとおりです。
- 違反点数6点(前歴がない場合)
- 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
自賠責保険の補償期間が切れている車で公道を走行した場合の罰則は、車検切れの場合よりも重くなっており、前歴がある場合はさらに罰則が厳しくなります。
車検切れ+自賠責保険切れの罰則
車検切れの車は、自賠責保険の補償期間も切れていることがほとんどだとお話ししました。
では、両方切れてしまっている場合の罰則はどうなるのでしょうか。
道路交通法施行令では、違反点数が同じ違反行為を2つ以上犯した場合、その点数が付加されることが定められています。
また、刑法併合罪47条では2つ以上の罪を犯した場合、より重い方の刑期の1.5倍が適用され、罰金に関しては、2つの罰金の合計以下が科せられることが同法48条で定められています。
そのため、車検切れに加え自賠責保険の補償期間も切れてしまっている状態で公道を走行した場合、さらに重い罰則が科せられることになります。
車検切れ+自賠責保険切れの場合の罰則は以下のとおりです。
- 違反点数12点(前歴がない場合)
- 90日間の免許停止
- 1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金
一気に12点の違反点数が加算されると免許停止処分となり、悪意や常習性が認められた場合は、交通刑務所に入らなければいけない可能性もあります。
車検切れの車の対処法
お話ししたとおり、車検切れの車では公道を走行することはできません。
そのため、改めて車検を受ける場合も、自分で運転して業者や修理工場まで持ち込むことができません。
では、車検を改めて通したい場合はどうすればいいのでしょうか。
引取サービスを利用する
車検業者の中には、引き取りサービスを行っている業者も存在します。
この引取サービスを利用すれば、自宅などの指定した場所まで業者が車を引き取りに来てくれるため、時間や手間をかけることなく車検を通すことができます。
また、引き取りサービスのほとんどは、車検が終了した後も指定した場所まで納車してくれます。
しかし、全ての車検業者が引き取りサービスを行っているわけではなく、引き取りエリアが限定されている場合もありますので、事前に確認しておくようにしましょう。
また、車検切れの車を業者が引き取る際も、車輪が公道に接さないようにする必要があるため、積載車での運搬となります。
通常のレッカー車などでは運搬できない可能性もあるので、車検切れの車であるということを事前に業者に伝えておきましょう。
仮ナンバーを発行する
自分で仮ナンバーを取得すれば、車検切れの車であっても数日間は公道を走行することができるため、自分で業者や整備工場まで運転することが可能となります。
ただし、仮ナンバーの取得には自賠責保険への加入が必須となります。
車検だけでなく自賠責保険の補償期間も切れてしまっている場合は、ひとまず短期の保険などに加入するようにしましょう。
仮ナンバー取得に必要な書類
- 自賠責保険証
- 車検証
- 運転免許証
- 印鑑
これらの書類を揃えたら、市町村役場の窓口で申請を行いましょう。
仮ナンバーは申請する際、ナンバーの使用目的や期間、移動させる経路などを申告する必要があるため、申告内容以外の目的で車を使用することはできません。
買取業者に買い取ってもらう
車検切れの要因がただ忘れていたからではなく、もう乗る予定がないからという方もいるかもしれません。
車検を通すには10万円程費用がかかり、車検業者に依頼したり仮ナンバーを取得するのには手間もかかります。
もう車に乗る予定がない方や、買い替えを検討していた方などは、車を買い取ってもらういい機会かもしれません。
もうボロボロだからお金にならないかも…と思っている方は、中古車買取業者ではなく廃車買取業者に買取を依頼するようにしましょう。
廃車買取業者であれば、中古車としてだけの価値だけでなく、パーツとしての価値まで見て判断してくれます。
また、カーネクストやガリバーのような海外に販路をもっている廃車買取業者は、輸出時の価値まで見て買取価格を付けてくれるため、さらに高値が付く可能性が高いです。
車検が切れていることでマイナス評価になることはほとんどないため、ぜひ一度査定に出してみてはいかがでしょうか。
まとめ
車検切れの車に科せられる罰則や罰金についてお話ししましたが、そもそも車検は車が安全に走行するために必要な検査でもあります。
車検切れの車で走行することは、車両の安全性が保証されていないことになり、事故を引き起こす可能性もあるため危険です。
罰則や罰金ももちろん重要ですが、安全に走行するためにも、車検が切れてしまう前に車検をしっかり受けるようにしましょう。