タイヤのバーストは、パンクよりも大きな事故につながりやすい故障です。
特に、アスファルトの温度が60度を超えることもある真夏は、高温の路面とタイヤが接することで、バーストが起こりやすくなっています。
ここでは、タイヤのバーストとパンクの違いから、バーストが起こる原因、その対処法などについて詳しく解説していきます。
タイヤのバーストとは
タイヤのバーストとはどのようなものなのか、パンクとの違いは何なのか、詳しく見ていきましょう。
タイヤがバーストするとどうなる?
タイヤのバーストとは、走行中にタイヤが破裂してしまう現象のことを言います。
バーストが起こるとハンドルが取られてしまい、車のコントロールが利かなくなってしまうため、周囲を巻き込んだ大事故に発展する恐れがあり、大変危険です。
また、タイヤが破損する際の衝撃によってタイヤ以外のパーツが破損する可能性もあり、修理費用が高額になりやすいです。
タイヤのバーストとパンクとの違い
タイヤのパンクは珍しいことではありませんが、バーストは滅多に起こるものではありません。
タイヤのパンクは空気が徐々に抜けていくことで起こりますが、バーストはタイヤが破裂してしまうため、空気が一気に抜けてしまいます。
また、パンクは気付きにくく、そのまま走行を続けてしまうこともありますが、バーストは「パンッ!」という破裂音し、ハンドルが取られてしまうため、すぐに異変に気が付きます。
バーストが起こるとすぐに走行不能となるため、パンク以上に危険な故障であると言えます。
タイヤのバーストの原因
タイヤがバーストしてしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
知っておくことでタイヤのバーストを未然に防ぐこともできるので、確認しておくようにしましょう。
タイヤの空気圧
バーストの原因で最も多いのは、タイヤの空気圧の低下です。
空気圧の低いタイヤで走行を続けると、タイヤの表面が波状に変形する「スタンディングウェーブ現象」が起こります。
このスタンディングウェーブ現象が起こるとタイヤが熱を持ち、タイヤの形状を保つためのコードと呼ばれる補強材が破損してしまいます。
コードが破損するとタイヤが形を保つことができなくなり、バーストを引き起こします。
また、反対に空気圧が高すぎるタイヤも、バーストを引き起こす原因になります。
特に真夏など、気温が高くなると空気が膨張するため、タイヤの空気圧が高いまま走行すると、地面との摩擦熱がタイヤの内部に伝わりやすくなり、バーストを引き起こしやすくなるのです。
タイヤの劣化
タイヤの劣化もバーストを引き起こす原因となります。
タイヤは、時間の経過とともに紫外線や道路の熱などによって硬化し、サイドウォールがひび割れてくることで脆くなっていきます。
タイヤがひび割れた状態で走行を続けると、ひび割れの隙間から水や埃が侵入し、タイヤ内部のスチールワイヤーが錆びてしまうため、タイヤの強度が下がります。
この状態で走行するとタイヤに負荷がかかり、バーストを引き起こす原因となってしまうのです。
タイヤの硬化は時間の経過によって起こるため、走行距離の長さは関係ありません。
そのため、走行距離が短くてもタイヤが古い場合は注意が必要です。
また、紫外線や熱だけでなく、タイヤワックスなどの薬品も、タイヤの劣化を早めてしまう原因になります。
タイヤワックスなどが付着したままタイヤを保管すると、タイヤのゴムを傷めてしまうため注意しましょう。
過積載
過積載になるとタイヤに負担がかかり、重さでタイヤが変形してしまいます。
タイヤが変形したままの状態で走行を続けると、タイヤが熱を持つことでタイヤ内部のコードが破損し、バーストを引き起こす原因となります。
過積載というとトラックを想像する方が多いと思いますが、これは乗用車であっても起こり得ます。
車にはそれぞれに最大積載量が定められているため、荷物や乗車人数が多くなる際は、最大積載量を超えてしまわないよう注意しましょう。
タイヤがバーストしてしまったら
タイヤのバーストは突然起こります。
バーストが起きてしまうとパニックになるかと思いますが、落ち着いて対処することが大切です。
走行中にタイヤがバーストしてしまった際の正しい対処法について解説していきます。
路肩に駐車する
走行中にタイヤがバーストしてしまったら、徐々にスピードを落とし、安全な路肩に停車させましょう。
タイヤがバーストするとハンドルが取られてしまい、車を思うようにコントロールできなくなるため、どうしても焦ってしまうかと思います。
しかし、ここで焦って急ハンドルを切ったり急ブレーキをかけてしまうと、追突事故などを引き起こす可能性があるため大変危険です。
また、ガソリンスタンドなどの場所まであと少しの距離であったとしても、バーストした状態のまま走行を続けるのは危険なので止めましょう。
ハンドルを取られて思うような運転ができないだけでなく、走行を続けることで他の部品のトラブルを引き起こす可能性もあります。
他の部品にも不具合が発生してしまうと修理費も高額になるため、無理に走行を続けようとせず、すぐに路肩に停車するようにしましょう。
ロードサービスを呼ぶ
路肩に停車した後は、停車していることを周囲の車に伝える必要があります。
周囲の車に十分注意しながら停止表示板を設置し、安全を確保するようにしましょう。
特に高速道路などで停車した場合、停車した車の中に滞在していると、後続車に追突される危険性があります。
ハザードランプを点灯させ、発炎筒や停止表示板を設置した後は、速やかにガードレールの外側に避難するようにしましょう。
身の回りの安全が確保できたら、JAFなどのロードサービスを呼ぶようにしましょう。
自分でスペアタイヤに交換することもできますが、路肩で交換作業を行うことは危険です。
また、タイヤがバーストすると発火する恐れもあります。
二次災害や火災が起こる可能性も考えると、ロードサービスなどを呼ぶのが一番確実です。
タイヤのバーストを防ぐために
お話ししたとおり、バーストが起こると重大な事故につながる可能性が高く、大変危険です。
バーストを防ぐためにはどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
バーストの前兆
バーストは突然起こるものですが、その前兆を読み取ることはできます。
下記のような異常は、バーストの原因となるスタンディングウェーブ現象の前兆であることが考えられます。
- 車体が小刻みに振動し、だんだん大きな振動に変わる
- タイヤのゴムから焼けるような臭いがする
- ハンドルが突然重くなる
- 「ガー」や「ゴー」という音が鳴る
これらの前兆に気が付くことができれば、バーストによる大きな事故を未然に防ぐことができます。
仮にバーストの前兆でなかったとしても、これらの異常が起きている場合は車に何らかの不具合が起きている可能性が高いため、走行中に異変に気付いたら無理して走行を続けず、安全な路肩に停車させるようにしましょう。
タイヤの空気圧を適正値に保つ
タイヤの空気圧はバーストに大きな影響を与えるため、タイヤの空気圧を適正値に保つことが重要です。
一般的にタイヤの空気圧のチェックは、一か月に一度行うことが理想的であると言われています。
車種によって指定される空気圧は異なるため、運転席のドア開口部に記載されている指定空気圧を確認しておくようにしましょう。
タイヤの空気圧チェックは、ガソリンスタンドなどでも行うことができます。
タイヤのひび割れやキズをチェック
タイヤの劣化によるひび割れなどが原因となる場合、バーストが起こる前に異変を感じることはほとんどありません。
そのため、定期的にタイヤの点検を行い、タイヤにひび割れやキズなどがないかを確認する習慣をつけることが重要です。
タイヤにひび割れやキズがあったり、スリップサインが出ている場合は、すぐにタイヤを交換する必要があります。
タイヤは決して安い買い物ではありませんが、安全に関わる重要な部品であるため、きちんと点検や交換を行うようにしましょう。
また、タイヤの劣化を防ぐためには、直射日光が当たらない場所で保管することも効果的です。
まとめ
タイヤのバーストは周囲を巻き込む大きな事故につながる可能性があり、大変危険です。
しかし日常的にタイヤを点検し、メンテナンスを行うことで、バーストを未然に防ぐことは可能です。
万が一、走行中にタイヤがバーストしてしまっても、慌てず冷静に対処することが大切です。
この記事をきっかけに、日常的にタイヤの点検を行ってもらえればと思います。
タイヤだけでなく他の部品まで故障してしまった場合、修理費は高額になる可能性が高いです。
あまりにも修理費が高額になる場合は、廃車にする方がお得になることもあります。
廃車買取業者に査定に出し、修理費用と比較してみてはいかがでしょうか。