車が水没してしまった時の正しい対処方法は?

近年、ゲリラ豪雨や大型の台風などによって道路が冠水し、車が水没してしまうという事例が増えてきました。自分の愛車が浸水・水没してしまった場合、対処方法を間違えると、思わぬ事故や車両火災につながる恐れもあります。

ここでは、車が水没してしまった時の正しい対処方法や、車を水没させないためにできることなどをご紹介します。

車が水没したと思ったら?

車が水没した!と思ったら、まず最初にチェックしておきたいポイントや、注意しておきたいポイントが存在します。
そのポイントについて詳しく見ていきましょう。

車のどの部分まで浸水しているのかチェック

  • 車内のフロア部分を超えて浸水しているか
  • マフラーまで浸水しているか

車が浸水しているかどうかは、このポイントをもとに判断することができます。

フロア部分を超えて浸水していると、エンジン機器の部分に水が入ってしまっている可能性があり、エンジンが故障してしまうケースが考えられます。
また、マフラーまで浸水してしまうと排気ができなくなり、エンストしてしまうためエンジンが止まってしまいます。つまり、このどちらかに当てはまっている場合は、車が水没してしまったと判断することができ、エンジンやブレーキなどに支障が出る可能性が非常に高いです。
こういった場合、速やかに対処しなければ故障につながるだけでなく、感電や車両火災の原因にもなり得ます。
浸水した水が海水の場合は、電気系統がショートしてしまうため、火災を引き起こす可能性が高く危険です。

エンジンはかけない

自宅のガレージなどで水没した場合を除き、公道で車が水没してしまった場合は、まず車を移動させる必要があります。
しかし、水没した状態で自分で運転して移動させるのは危険です。
水没した状態で通常通りにエンジンをかけてしまうとエンジンが壊れてしまったり、電気系統の配線がショートして出火する可能性もあります。どうしても車を移動させる必要がある場合は、エンジンをかけていない状態でギアをニュートラルに入れ、周囲の安全を確認した上で車を押して移動させるようにしましょう。

電気自動車やハイブリッドカーは危険

電気自動車やハイブリッドカーは、ガソリン車よりも高い電圧のバッテリーを積んでいます。
そのため、浸水によってバッテリーが損傷し、漏電していた場合は、車に触れるだけでも感電する可能性があります。
水没してしまった車が電気自動車やハイブリッドカーの場合は、自分で無理に動かさず、JAFなどの専門家に連絡し、到着するまで車から離れておくようにしましょう。

車が水没したときの対処方法

車が水没してしまった場合は、できるだけ早く適切な対処方法を取ることで、車の被害を最小限に抑えることができます。
車は水没後、時間が経てば経つほど状態が悪化し、最悪の場合、車両火災などにつながる可能性も高くなります。

車が水没してしまったらどう対処すべきなのか、詳しく解説していきます。

1.保険会社やJAFに連絡する

車が水没してしまったら、まずは自分が加入している自動車保険会社や、JAFなどのロードサービスを行ってくれるところへ連絡をしましょう。
ここでレッカーを手配してもらい、水没した車を近くのディーラーや整備工場まで運んでもらいます。
自分の加入している自動車保険の保証内容にロードサービスが含まれている場合は、保険の範囲内でレッカーを手配してくれます。

JAFに依頼した場合のレッカー費用は、基本料+作業料+牽引料となります。

JAF会員の場合

基本料:無料
作業料:作業時間30分まで無料
牽引料:15kmまで無料(15km超過分、1kmごとに730円)

JAF非会員の場合

基本料:8,380円(8時~20時) 10,480円(20時~8時)
作業料:作業時間1時間9,500円~
牽引料:1kmごとに730円
上記がおおよその相場となります。

必要書類を準備する

自動車保険会社やJAFが到着するまでに、これから必要となる書類を揃えておきましょう。

必要となる書類とは下記のとおりです。

  • 車検証
  • 任意保険の書類(加入している場合)
  • JAF会員証(会員の場合)

車検証や任意保険の書類などは、車内のダッシュボードに保管している方がほとんどだと思います。
万が一、水に濡れてしまっている場合は乾かしておきましょう。

また、保険金の請求や大規模な災害の場合、国や自治体の被災証明書の発行に下記のものが後日必要となります。

  • 車の水没の程度が分かるような写真
  • ロードサービスやレッカー車手配などの明細書
  • 修理費の見積書

ディーラーや整備工場まで運んでもらう

保険会社やJAFなどからレッカー車が手配されたら、ディーラーか近くの整備工場まで運んでもらいましょう。
ここで車のエンジンなどの状態をよく見てもらい、修理が可能かどうかの判断をしてもらう必要があります。また、修理が必要な場合、どれくらいの費用が必要となるのかなどの見積もりも出してもらうようにしましょう。
こういった浸水の場合、浸かった水が真水なのか海水なのか、どの程度まで浸水したのかなどによって、車の状況は大きく変わってきます。自分で判断するのは難しいため、必ずディーラーや整備工場などの車の専門家に調べてもらうようにしましょう。

水没した車はどうすべき?

水没してしまった車は、水没の程度などによって今後どうするかを3つに分類することができます。
自分の車の状態や、今後の状況などを踏まえた上で、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。

修理して乗り続ける

浸水の程度が軽く、車の状態がそこまでひどくない場合は、修理をして乗り続けることもできます。
この時、任意保険の車両保険に加入している場合は、洪水による自然災害での保険が適用されます。
保険を利用することで自己負担額が少なくなるようであれば、修理をして乗り続けることが、一番出費を抑えれられる方法であると言えるでしょう。

しかし、浸水の程度によっては、修理費が高額となるケースもあります。
車種などによって当然差はありますが、修理費の目安は下記のとおりです。

  • 床下までの浸水で25万円~
  • シートまでの浸水で50万円~

エンジンやトランスミッションまで修理することになった場合は、100万円を超えることもあります。
修理費用が車両保険の上限を超えると、超えた分は全て自腹となります。

また、大雨や台風などではなく、地震や津波などの広い範囲での大きな災害となる場合は、保険会社も適切な保険料が設定できないため、補償の対象外となることも多いです。
いざという時のために、自分が加入している保険会社の保証内容などを確認しておくようにしましょう。
しかし、修理をしたとしても「冠水歴」はついてしまうため、車を手放す際はマイナス評価の対象となってしまいます。

中古車買取業者に買い取ってもらう

浸水の程度が軽い場合は、中古車買取業者に買い取ってもらうという方法もあります。
中古車買取業者に買い取ってもらうことができれば手元にお金が残り、その分を新しい車を買う資金に充てることができます。また、大手車買取業者などでは、新車を購入するまで代車を無料で貸し出してくれるところが多いです。
通勤などで毎日車を利用する方にとってはありがたいですよね。

しかし、中古車買取業者が買い取る車は、中古車として再販できる車に限られます。
そのため、シートの上まで浸水してしまった水没車などは中古車として再販することが難しく、中古車買取業者に買い取ってもらえない可能性が高いです。

廃車買取業者に買い取ってもらう

廃車買取業者であれば、中古車買取業者では買い取ってもらえなかったようなレベルの水没車でも、買い取ってもらえる可能性が高いです。廃車にすると言っても、そのまま処分されてしまうのではなく、使える部品はきれいに洗浄されてリサイクルされることがほとんどです。廃車買取業者は、中古車としての価値を判断するのではなく、部品としての価値を判断するため、水没車などの場合、中古車買取業者に買い取ってもらうよりも高値が付くことも珍しくありません。
廃車買取業者は、解体した後のパーツなどを販売するルートを独自に持っているため、中古車として再販できない車であっても、値段を付けることができるのです。
水没車でも諦めず、一度廃車買取業者に査定に出してみるようにしましょう。

車の水没を防ぐためには

車が水没してしまった際の対処方法などについてお話ししましたが、いくつかの点に注意しておくだけで、車の水没を防ぐことができます。
大切な愛車を水没させないためにできることとは何なのか、詳しく見ていきましょう。

天気予報をこまめにチェックする

車が水没してしまう主な原因は、台風や豪雨などの自然災害です。
これらを予測し、完全に対策しておくことは難しいですが、天気予報をこまめにチェックする癖をつけておくだけで、車を事前に避難させることなども可能になります。
特に梅雨の時期や台風の時期などは、天気予報をこまめにチェックしておくようにしましょう。

車の保管場所を考える

車が水没しないようにするためには、できるだけ水が溜まらないような高い場所に保管することが理想的です。市町村が出しているハザードマップなどを確認することも、車の水没を防ぐために有効な手段となります。
ハザードマップには浸水地域や冠水道路、避難所などの情報が掲載されているため、参考にすることで浸水のリスクが高い場所を避けて車を保管することができます。

また、豪雨や台風の時などに車を避難させられるような場所があるかどうかを探しておくことも重要です。安全な高台などにあるパーキングをあらかじめ見つけておき、天候が悪化する前に移動させるなどしましょう。

まとめ

車が水没してしまった場合は無理に自分で動かさず、保険会社やJAFに連絡してレッカーで移動させてもらうようにしましょう。
また、水没してしまった車を修理して乗り続けるか買取業者に出すのかは、費用面などを考慮した上で、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。

車の水没は、考えている以上に車に大きなダメージを与えてしまいます。
車が水没してしまうリスクを最小限に抑え、大雨などに備えておくようにしましょう。
水没してしまった車を修理に出しても手放す際は「冠水歴あり」と判断されるため、部品としての価値を判断してくれる廃車買取業者に買い取ってもらうことをおすすめします。